ツアーの観戦にいらしたことがある方ならわかると思いますが、男子プロの歩くスピードは皆さんが思っているよりも速いです。
もちろん焦っているのではなく、基本的にはリズミカルに一定の歩幅で歩いています。
実際は「歩いているつもり」と書いたほうが正しいでしょう。
歩く速さには、感情が表れやすいものです。わかりやすく言えば、焦れば速くなり、のんびりした気持ちになれば遅くなるものということ。
そこからプレーに集中できているのかどうかや、気持ちが前向きか後ろ向きかなどを感じることができます。
面白いことに、歩く速さが変わればスイングのリズムも変わり、球筋も変わり、ゴルフの内容も変わってくるものです。となれば、調子の良い時はできる限り一定に歩きたいですね。しかし、そこで優勝が見えてくるような緊迫した状況になれば、速さが変わってしまうということはよくあることで、それによってリズムが分からなくなってしまうという事も少なくありません。
つまりは選手の歩く速さをコントロールすることも、キャディにとっての大事な仕事の一つということになります。一番身近にいて、アドバイスできる存在であるキャディの歩くペースが変わらなければ、選手の歩く速さの変化などはすぐにわかるものです。
選手のリズムが変わったことに気づいたら、次はどうやって選手のリズムを元に戻すかを考えます。
もちろん「もう少しゆっくり歩きましょう。」と、直接的に言ってしまうことも一つの手段です。
これは、流れを大きく変えたい時にはとても有効ですが、急に変えてしまうことで、良い流れを止めてしまう可能性もあります。大事なことは、徐々に戻していくことです。
次に打つ時まで歩いている時間はたっぷりあるのですから、その間に元の速さに戻していくことが理想です。